言葉

今読んでいるのは森博嗣の「詩的私的ジャック」。残すは3分の1ほどだが、ここにきて犀川創平の言葉に、思わず胸を打たれてしまった。犀川が、萌絵に言った言葉。(これから読もうと思っている人はスルーして下さい)

「相手の思考を楽観的に期待している状況……、これを、甘えている、というんだ。いいかい、気持ちなんて伝わらない。伝えたいものは、言葉で言いなさい。それが、どんなに難しくても、それ以外に方法はない」 --- 『詩的私的ジャック JACK THE POETICAL PRIVATE』 著:森博嗣 (講談社文庫) P365 より引用 ---

いかにも犀川らしい現実的な物言いだが、実は奥が深い。どうあがいても、言葉にならないこと、表現できないものはある。ただ、犀川も言うように現実に甘えようものなら言葉にしたほうが「言わない」よりも断然前進できるということなんだろう。

犀川に思いを寄せる萌絵の心境を打ち抜く言葉。