森ミステリィ

久々の読書カテゴリ。最近読んだ小説3本をまとめて紹介しようと思う。しかーし、この頃は森博嗣にハマっている自分。森の作品は昔から食わず嫌いなところがあって手を付けたことがなかったのだが、1冊読んでみてその面白さに愕然。まずは「S&Mシリーズ」10本読破を目指して少しずつ読み進めている。

すべてがFになる』(講談社文庫)★★★ 著:森博嗣(以下、全て森作品)
記念すべき1作目。執筆順にすると異なるのだが、あまりの出来の良さに時系列を書き直して第1弾として刊行されたのは有名な話。後の森作品のキーとなる天才工学博士の真賀田四季を軸に、隔離された研究所で起こる密室殺人事件が巻き起こる。探偵役と言うべきN大助教授・犀川創平と、ワトソン役と言うべき女子大生・西之園萌絵ももちろん初登場。この作品には森ミステリの面白さが凝縮されていると思う。よく評されるのが理系ミステリという括りで、デジタルな要素が謎を解く鍵になっていく。が、1つのミステリとして解決に向かう様はまさにアナログ仕様。そのギャップ、温度差が飽きさせないのだ。また、犀川と西之園の明確な描写は、まさにキャラクター小説の要素も併せ持つ。…と、ここまでが森ミステリの面白さの“さわり”である。絶賛を浴びた作品なだけに、トリックが二転三転するのも驚きで、大どんでん返しも用意されている。読後の爽快感は言わずもがな。

冷たい密室と博士たち』(講談社文庫)★★☆
S&M2作目。執筆順では1作目にあたる。N大工学部土木工学科の低温度実験室で起こった密室殺人事件に犀川と萌絵のコンビが挑む。「すべてが〜」よりもかなりスケールが小さく、密室の設定も古典的。完全に出入りのできない実験室において、どうやって犯人は中に入り犯行に及んだのか?という当たり前の謎を当たり前かのごとくスマートに挑む犀川の謎解きにやられてしまう。同時に、萌絵と犀川の微妙な距離感(萌絵は犀川にぞっこんw)が描かれるロマンス要素と言っていいのかどうかわからないが、「あぁ、こういう楽しみ方もあるんだ」と思うことも必至。

笑わない数学者』(講談社文庫)★★★
S&M3作目。天才数学者・天王寺翔蔵の住む「三ツ星館」で起こった奇想天外な殺人事件。真賀田四季に引き続き、二人目の天才、天王寺博士が登場する。単純に、犀川の天才に挑む姿(結果に挑むことになったわけだが…)には鳥肌が立つ。読者にとっては犀川もかなり頭の切れる人物で、そんな彼が天才数学者と対峙するとき、これがもう絵になるわけだ。館ものとしての魅力もあり、わけありな面々が集う点なんかは斬新ではない反面、ミステリ好きにはとても読み進めやすい展開。だから犀川と萌絵の活躍が生えているのかもしれない。トリック自体はさほどレベルの高いものではないかもしれないが、それに勝る天才数学者の数々の名言。

こんな感じで、今後もしばらくは森、森、森……。