彼女

夕方、用事があって秋葉原にいると、ある人から連絡が入る。僕はその足で、西新宿の東京医大病院に向かうことになった。説明がないとなんのこっちゃわからないだろうけど省略。かいつまんで説明すると、僕にとってとてーも大事な人のお見舞いに行ってきた。

彼女は今日から入院する。といっても親密な意味での彼女ではない。その彼女が、あさって大きな手術をするのだ。総武線を四谷で下車し、地下鉄丸の内線に乗り換えて西新宿へ。面会時間は20時までだが、時刻は既に19時を回っていた。1階で受付を済まし、10階の病棟へ向かう。病室へ入ると、彼女のお母さんが笑顔で迎えてくれた。訊くと彼女は入浴中だという。しだいに心臓がどきどきしてくるのがわかる。そのくらい彼女は大事な人なのだ。しばらくして彼女が現れた。僕は平然を装っていたのだが、内心では緊張しまくっていた。逆に彼女は普段どおりの彼女。さばさばしてるけど、ユーモアがあって、そんないつもの気分屋な彼女がそこにいた。とてもあさって手術するとは思えない。

30分ちょっとという短い間、話すことは限られてしまうけれど、とても良い時間をすごすことができた。彼女にとってはどうだっただろうか?帰り際、エレベーターで僕とお母さんを送る彼女は笑顔でバイバイしてくれた。笑顔にならなきゃいけないのはこっちのほうなのに…。なんだかこみ上げてくるものがあった。とにかく、今夜は心細いだろうけど、ゆっくり休んでほしい。今頃夢の中だろうか。